鏡としての犬たち

聞こえなくなった「おかえり」 〜静かな距離〜

ただいま、って言ったのにいつもの足音が聞こえない。 玄関のドアを開けても、あの子はベッドから動かない。 前はね、走ってきてくれていた。しっぽを大きく振って、鼻を鳴らしながらスリスリして。そのぬくもりに、わたしは毎日救われていた。 なのに最近...
問いで始まる静かな目覚め

わたしを置いていくように  〜心の歩幅〜

最近のお散歩、なんだか…前よりも歩きづらい。グイグイとリードが引かれて、わたしはただ引っ張られるように、その背中を追いかけてる。 まるで、わたしのことを置いていくみたい。 いつの間に、こんなに歩幅がずれてしまったんだろう。以前は、もっと自然...
飼い主という旅人

すれ違うぬくもり 〜わたしに映る、あの子のまなざし〜

近づこうとしただけなのに、ふっと、身を引いた。手を差し伸べたつもりだったのに、まるで「なにか」を拒まれたような気がして心がきゅっと、すぼんだ。あの子の目が、一瞬かたまる。まぶたの奥の、警戒と不安。…ああ、今日は距離がある。悲しいとか、傷つい...